チーズ作りに使う乳酸菌って、どんなものがあるの?
こんな疑問にお答えします。
チーズ作りに欠かせない「乳酸菌スターター」は一体どんなもので、どうやって入手すればいいのか、最初はわかりませんよね。
結論だけ話すと、「野澤組さんに電話相談したらいい」ってことなんですが、ぜひ記事も読んでいってください。
「丹波チーズ工房」6年目の私がお伝えします。現在私も数種類のスターターを使っています。主な種類と基本の使い方も解説していきます!
乳酸菌スターターとは
乳酸菌とは、炭水化物(乳糖など)を分解して乳酸を生成する菌の総称です。
乳酸菌スターターとは、数多くの乳酸菌の中から厳選された2~4種類の乳酸菌を、チーズ作りのためにバランスよくブレンドした凍結乾燥品です。
中には乾燥したつぶつぶの粉ミルクみたいなものが入っています。この一袋で約500Lのミルクを発酵する力があります。
かつては酒蔵の蔵付き酵母のように、いつも使っている牛乳桶にミルクを入れれば自然と発酵を始めていたのでしょう。
現代は衛生観念が発達し、日本では牛乳の殺菌(ミルクの中の乳酸菌は死滅します)が義務付けられているため、乳酸菌スターターの添加は必須となっています。
主なスターターの種類
日本の多くのチーズ工房では、フランスのクリスチャンハンセン社の乳酸菌スターターを使用しています。
ここに記載しているのはごく一部です。詳しい菌種は省略しました(笑)
製品名 | 菌種 | 適用 |
---|---|---|
CHN-11 FLORADANICA | 中温菌4種類 | ゴーダ、カマンベール、エダム、クアルク等 |
R-703 R-704 | 中温菌2種類 | チェダー、クリームチーズ、ブルーチーズ等 |
TCC-3 | 高温菌2種類 | モッツァレラチーズ等 |
STI-12 STI-13 | 高温菌1種類 | モッツァレラチーズ等 |
中温菌と高温菌の違いは発酵する温度帯の違いです。
中温菌は乳温30℃、高温菌は38℃で発酵させます。
「つくるチーズによって、働かせる乳酸菌が違う」という感じが伝われば幸いです。
スターターの使い方の基本
乳酸菌スターターの中身は、粒々の粉ミルクのようなものになっており、これを適量用意して、殺菌後30℃前後まで冷却した牛乳に直接パラパラと入れるだけです。
添加量は、50ユニットの一袋で牛乳500L用ですから、もし牛乳100Lなら袋の中身を計量して5分割して、残りはラップに包んだりしながら、一回分を添加します。
0.1gまで測れる計量器は準備しておく必要がありますね。こんなやつとか。
スターターの入手方法
スターターもいろいろな入手方法はあるのでしょうが、私は株式会社野澤組さんにお世話になっています。
「ナチュラルチーズを作るための乳酸菌スターターを購入したい」という旨を連絡し、担当の方に作りたいチーズのことを相談してみるのをお勧めします。
もし不安な方はお問い合わせフォームより、私にご連絡ください。相談に乗りますよ!お気軽に!
使っているスターター
丹波チーズ工房で使っている乳酸菌スターターを2つ紹介します。
FLORA DANICA(フローラダニカ)
ゴーダ、丹波スノーホワイト、フロマージュブランに使用しています。
ジアセチルラクティスという香りを作る菌が入っていて、炭酸ガスを出すので、ゴーダの小さな穴ができます。
実際はコレを種菌に、さらに自家培養して活性の高まったスターターを添加しているのですが、詳しくはまた別記事で。
STI-13
モッツァレラチーズに使用しています。
まだ使い始めて1年くらいなのですが、かなり安定的に、短時間で乳酸発酵を進めてくれるので、とても助かっています。
まとめ
乳酸菌スターターの基本を理解していただけましたでしょうか?
今回紹介はしませんでしたが、カマンベールの白カビや、ブルーチーズの青カビもチーズスターターの一種です。
他にも香りを高めてくれる酵母や雑菌を抑える役目の酵母など、身には見えない様々な微生物が協力して、おいしいチーズを作ってくれているのです。
何か質問がありましたら、お問い合わせフォームより気軽に質問いただけると嬉しいです。一緒に日本の酪農文化・ナチュラルチーズ文化を盛り上げていきましょう!
以上です。