月刊里山酪農通信

丹波里山酪農通信10月号

朝晩が涼しくなり、丹波盆地には深い霧が立つようになりました。

稲刈りはひと段落しましたが、栗や黒枝豆などの収穫が始まり、丹波はとても賑やかです。


さて、9 月から農場近くの畑を手入れし、ジャージー子牛を2 頭放牧し始めました。

婦木農場では昭和初期から牛を飼い、地元の丹波乳業さんにミルクを出荷し、

8 年ほど前からチーズ工房もスタートし、自社加工ができるようになってきました。


しかし2022年からの為替相場や世界情勢により、購入している牛のエサ価格が2 倍近くに跳ね上がりました。

自社農場でもエサを作ってはいますが、賄いきれる量ではないので、経営的にも大きな打撃を受けています。

近所の酪農家さんも悲鳴を上げており、廃業の話も聞こえてきます。

古くなった牛舎の新設計画は吹っ飛び、どうすれば牛飼いとチーズ作りを続けられるのかと悩みました。

そんな時に思い出したのが、先代のお爺ちゃんが言っていた「放牧したい」という言葉です。

雄大な土地を持つ北海道ではよく見る光景ですが、ここは丹波の狭い里山で、しかも段々畑の中山間地です。

できるのかは不安でしたが、もうそれしか道はないと思いました。


すぐに島根にいる友人の放牧場を見学に行きました。
急峻な山を切り開いて、牧草の種を蒔き、牛が歩き回っていました。

草の芳醇な香り立つミルクも魅力的で、これなら丹波でもできると確信しました。


家の裏の荒れ始めた田畑や、未間伐の暗い山を開き、

草を育てて牛を放ち、これまで培った技術でチーズに加工し、

この生まれ育った丹波の里山を守る。

その美しい風景を一緒に見ませんか?

応援よろしくお願いします。